私たちROOM810と同じ、東京都荒川区に拠点を置き、85年の社歴を誇る電気工事会社・能田電気工業株式会社。
池袋サンシャイン60の指定工事業者としても知られ、確かな技術を持つ歴史ある企業です。
その新しいブランディングの核として、企業ロゴと名刺デザインを手がけました。
ロゴに込められた想いや名刺が出来るまでを簡単にご紹介します。
● ディレクター : 島 健
● デザイナー :安麻美、島 健
● アシスタント:福島麗
ロゴマークの原点は、お客さまから渡された一枚の手書きスケッチでした。社長のお子さんが描かれたという企業名の頭一文字「の」を社業の「電気」を思わせる「電球」に見立てたスケッチからは、ラフな手書きながら、平凡なヒアリングを超えた力と親しみやすさが感じられ、なにより面白い作品でした。
これを核にしてロゴをブラッシュアップしたい。
そこからスタートした作業でしたが、実はコンセプトを考案してゼロからデザインするよりも、他人が考えたコンセプトをブラッシュアップするというのは、なかなか難しいものです。デザイナーが思わず笑ってしまう程のバリエーションを作成しては、「これは『の』よりもヘビみたいに見える」「電球に見えない」「可愛らしすぎる」など微修正を繰り返しました。
元になるスケッチには、電球のフィラメントにあたる部分にハートがありました。「心で灯りをともす」。そんな仕事をする会社であるというメッセージが伝わり、素晴らしいアイデアでしたが、後述する視認性からこのハートを取ったデザインを採用するなど試行錯誤を重ねて、仕上がったのが冒頭のロゴマークです。
電球にも、ひらがなの「の」にも見える。
このロゴから生まれたのが、表面が横、裏面が縦という少し変則的な名刺です。
実は能田電気工業では従来縦型の名刺を使用されており、「縦のレイアウトが好き」との声はデザイン前にヒアリング済でした。しかし一方で、縦名刺への不満として「企業の交流会などで名札的に名刺ホルダーを渡された際に、縦名刺は社名・個人名の視認性が低い」という意見もあったのです。
そこでロゴデザイン段階より、「名刺表面はロゴの一部、『の』だけが見えて名札のように使えるインパクトあるデザイン」を念頭に置いて、ロゴを縦半分にカットした際に「ひらがなの『の』に見える」デザインを意識して制作。表面は企業名と「ロゴのうち、企業名に絡む部分」だけが大きくあしらわれ、何よりも名刺を持つ個人の名前が大きく飛び込んで来るようなデザインに仕上げました。
情報がすっきりと整理された裏面には、ロゴ全体と企業スローガンが配置され、従業員の皆さんが慣れ親しんだ縦レイアウトの良さはそのまま、生まれ変わったデザインとなりました。
既存のものを大胆に変える。ゼロから構築する。ロゴデザインとは、そのような作業と思われがちです。しかし、「私たちはデザイン会社」と自分たちが思うクールなデザインを押し付けることなく、伝統や積み上げられた信頼を尊重して、それをスマートに底上げすることで、新しいビジネスへの足がかりを作る、企業をリフレッシュする。これもロゴデザインの大きな仕事です。
新しい風と共に創業100年に向けて歩みはじめた能田電気工業さま。現在ROOM810ではWebサイトのリニューアル作業も進行中です。完成しましたら、またこちらでご案内します。
能田電気工業株式会社
http://www.no-da.co.jp/
〒116-0003 東京都荒川区南千住5-25-9