この度ROOM810では、北海道函館市を中心とする道南エリアで電気設備事業を展開する大鎌電気株式会社のショールーム兼研修棟建設に伴い、外構/内装の空間デザイン設計から企業ロゴや商材の展示パネルなどグラフィックデザインまで、幅広く手掛けました。CIやPRに関わる事例については、別記事にてまたご紹介します。
クライアントである大鎌電気株式会社は、1945年(昭和20年)創業。
道南エリアの電気設備工事を担ってきました。
近年は電力エネルギーを取り巻く環境が時代と共に変化する中で、”太陽光発電など省エネルギー事業”にも積極的に取り組んでおり、エネルギーに関わる企業の勤めとして、持続可能な社会の実現にも力を入れています。
電気設備会社のオフィスや内装デザインは初めての経験で、省エネルギーに対する知識も当初は限られたものでしたが、ROOM810ではこのショールーム兼研修棟が「大鎌電気が取り組んでいる事業を象徴する」空間になるよう、事業のコンセプトや概要を理解してそれを空間やグラフィックのデザインに落とし込むことに注力しました。
北海道なのにエアコンを使わない?ネット・ゼロ・エネルギーを実現する建築
本ショールーム兼研修棟は、所謂「ZEB/ZEH」を実現した建築物となります。
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、太陽光発電などで建物が必要とする電気を自ら作り出す一方、省エネによって電力消費を抑えることで、年間を通じて「建物のエネルギー収支をゼロにする」建築のことを指します。
一言で省エネと言っても、大鎌電気がショールーム兼研修棟を構えるのは北海道函館市。
画像は建物の目の前に広がる森です。
この北海道の豊かな自然と厳しい寒さという環境で、ZEBを実現するというのは容易なことではありません。
函館にある企業がZEBを実現する。
SDGsや省エネは取り組みや工夫次第で実現できる、と示すには最高の事例です。
1年がかりでクライアントの意向を汲み取り、それをデザインで表現する私たちにとっても大掛かりなプロジェクトとなりました。
実はこの建物では、エアコンを使用していません。
代わりに「F-CON(エフコン)」と呼ばれる、次世代型冷暖房システムを導入しています。熱が高いところから低いところへ移動する「ふく射」の原理を利用して、室外機で作った冷温水を室内に設置したF-CONパネルに循環させることで、室内温度をコントロールしています。画像に見える白い壁のようなものが、F-CONパネルです。
無音・無風で身体に優しい全館空調で、室外機を減らしてフロンガス使用量を削減するなど、SDGsの観点からも今注目を集めるこのF-CONの快適性をショールームで体感して欲しい、というのがクライアントの希望でした。省エネとオフィス(空間)デザイン、双方の快適性を意識して、F-CONパネルが空間に圧迫感をもたらしたり、働く場でのコミュニケーションを分断しないようなデザインを心がけました。
その他のSDGsやZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に繋がる取り組みも、順番に見ていきましょう。
エントランス&展示スペース
壁と床のペイントやフェイクグリーンの装飾で、ワクワクするようなエントランス空間に。
イナズマをイメージして設置した天井照明も電気会社さんならではの仕上がりです。
思わず目を引く床のサインは、各室への誘導と空間のアクセントとしてカラフルなラインでペイントしました。
また、ショールームという建物の特性を鑑み、大鎌電気株式会社が力を入れている省エネ関連の事業をパネル形式で展示しています。
太陽光パネルやF-CONをはじめ、業務用空調・冷凍機器の自動制御システム、電力使用量の監視など、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)実現やSDGs推進に役立つ取り組みを一覧でご覧いただけます。「パネルで知った内容が、実際にこの建物で実現されている」或いは「建物で実感した省エネ効果の詳細をパネルで知ることができる」。細部までコンセプトを理解したショールームデザインならではの空間づくりです。
通路を挟んでパネルの対面には、創業まもなく80年を迎える大鎌電気株式会社の歴史をヒストリーウォール形式で展示しています。
創業や社屋移転の歴史はもちろん、近年大鎌電気が力を入れているISO9001 / ISO14001の取得やSDGs宣言、働き方改革やDX化など持続可能な社会の実現を目指す取り組みも盛り込んで、企業の進化が一覧でご覧いただけるような構成に致しました。
会議室
SDGsへの取り組みを親しみやすく伝えるため、床に電球をモチーフとしたグラフィックペイントを施しました。
この会議室は移動間仕切りを設置しており、最大3部屋に仕切ってフレキシブルなレイアウトで活用が可能です。社内会議や来客スペースなど小空間から、セミナーやイベントなど大きな空間まで、多用途を想定してデザインしました。
1F展示スペースから2Fオフィスへの階段
階段の側面に描かれた文字は、大鎌電気社員のみなさんと一緒に考えました。空間の高さを生かしてボリュームあるフェイクグリーンを配置して、1Fから2Fへの繋がりを感じられる階段に仕上がりました。
アーシングの導入
電気設備に関わる事業者として、クライアントが関心を寄せていたのが「アーシング」の概念です。
アーシングとは、靴や靴下を脱いで、裸足で地面と繋がることを指します。電化製品にアースが必要なように、私たちの身体に溜まった電気を地面に逃すという考え方です。
オフィスやショールームで裸足になる、というのは現実的ではありませんが、アーシングマットを設置したり、靴を脱いでくつろげるスペースを用意したり、人と電気との関わりについて日々模索を続けていきたいとの思いから、働く空間に溶け込むアーシングを一緒に検討・ご提案しました。
アーシングの観点から生まれた小上がりの休憩スペースには、人工芝畳と植物を配置し、アロマディフューザーも置かれていて、存分にリラックスできる空間を演出しました。”ジャングルスペース”という愛称で、社員の皆さまから親しまれている空間です。
商材やカタログを収納するための造作書棚はアクセントとしてインポートクロスを採用しました。
バイオフィリックなデスクスペース&リフレッシュスペース
照明と植物を組み合わせたROOM810オリジナルの造作照明+植栽ボックス。また、ワークデスクやワークチェアもデザイン性やカラーにこだわり、社員の皆さんが楽しくワクワク働けるデザイン空間を心がけています。
キッチンの窓際に置かれたハイカウンターは、以前の社屋で使用していたオフィス家具をリデザインしました。デスクトップにコンセントを設置しているので、フリーアドレススペースとしても利用可能です。植栽ボックスと一体型のハイカウンターに座って、窓から景色を眺めながら気分もリフレッシュ出来ます。
モザイクタイルを使った壁面
モザイクタイルをデザイン貼りした壁面は、前面にガラスを合わせることで、ホワイトボードのような仕様にも早変わり!社内コミュニケーションを活性化させるためのデザインアイディアです。
株式会社ROOM810では、オフィスや店舗のデザイン設計はもちろんのこと、カタログ・ホームページ・ロゴなどWEB・紙媒体の広告デザインまで幅広く承っております。皆様のご希望をお聞きしながらプランをご提案させていただきます。SDGsへの取り組みや、オフィスのバイオフィリックをご検討中の皆さま、どうぞお気軽にROOM810までご相談ください。
その他写真、ポートフォリオはROOM810のピンタレストでもご覧いただけます。
ROOM810 インテリアチームのインスタグラムでも施工事例をご紹介しております。
こちらからお気軽にお問い合わせください